全身疾患と歯周病の関係とは? 口腔の健康と全身の健康の関わりを歯科衛生士が徹底解説します。

2025.02.16
こんにちは!
箕面市牧落オートバックス前のヨコヤマ歯科、歯科衛生士の横山です。
近年、歯周病が単なる口の病気ではなく、全身の健康に深く関わっていることが明らかになっています。歯周病は、歯を支える組織が炎症を起こす病気ですが、その炎症が全身に悪影響を及ぼし、さまざまな疾患のリスクを高めることが分かっています。
今回は、「全身疾患と歯周病」の関係について詳しく解説し、予防や対策についてもお話しします。
目次
歯周病とは?
歯周病は、歯と歯ぐきの間に細菌が繁殖し、炎症を引き起こす病気です。
初期段階では「歯肉炎」と呼ばれ、歯ぐきの腫れや出血が特徴です。
進行すると「歯周炎」となり、歯を支える骨が溶けてしまい、最悪の場合、歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病は、日本の成人の約80%が罹患していると言われるほど、非常に身近な病気です。
しかし、歯周病が進行すると、口の中だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
歯周病が引き起こす全身疾患
糖尿病との関係
歯周病と糖尿病は相互に影響を及ぼすことが分かっています。歯周病による炎症が血糖値を上昇させ、糖尿病を悪化させる可能性があります。また、糖尿病の人は免疫機能が低下しやすく、歯周病にかかりやすくなります。つまり、「歯周病が糖尿病を悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させる」という悪循環が生まれてしまうのです。
心血管疾患(心筋梗塞・脳梗塞)
歯周病菌が血流に入り込むことで、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めると考えられています。歯周病菌が血管の内壁を刺激し、炎症を引き起こすことで、動脈硬化を促進するのです。実際に、歯周病のある人は心血管疾患のリスクが1.5〜2倍高くなるという研究報告もあります。
誤嚥性肺炎
高齢者に多い「誤嚥性肺炎」は、口腔内の細菌が気道に入り込み、肺で炎症を引き起こす病気です。歯周病菌が肺に侵入することで、肺炎の発症リスクが高まります。特に高齢者は、嚥下機能が低下するため、口腔ケアを怠ると誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。
認知症との関係
歯周病菌が脳内に炎症を引き起こし、アルツハイマー型認知症の進行を早める可能性があると指摘されています。近年の研究では、歯周病菌が脳内に侵入し、神経細胞を破壊することが確認されており、認知症予防の観点からも歯周病対策が重要視されています。
早産・低体重児出産
妊娠中の女性が歯周病にかかっていると、早産や低体重児出産のリスクが約7倍に高まるという研究結果があります。歯周病の炎症によって産生される炎症性物質が、子宮の収縮を促進し、早産を引き起こすと考えられています。そのため、妊娠中の女性は特に口腔ケアを徹底することが大切です。
歯周病を予防するために
歯周病を防ぐことは、全身疾患のリスクを軽減することにもつながります。以下の予防策を意識しましょう。
毎日の正しい歯磨き
歯周病予防の基本は、適切なブラッシングです。特に歯と歯ぐきの境目を意識し、プラーク(歯垢)をしっかり除去しましょう。また、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れも取り除くことが重要です。
定期的な歯科検診
自分では取り除けない歯石を除去するため、3〜6ヶ月に1回は歯科医院でクリーニングを受けることをおすすめします。また、早期発見・早期治療により、歯周病の進行を防ぐことができます。
生活習慣の改善
・ 食生活の見直し:糖分の多い食事を控え、ビタミンやミネラルをしっかり摂る。
・ 禁煙:タバコは歯ぐきの血流を悪化させ、歯周病を進行させる要因になります。
・ ストレス管理:ストレスは免疫力を低下させ、歯周病の悪化を招くことがあります。リラックスする時間を持つことも大切です。
まとめ
歯周病は単なる口の病気ではなく、糖尿病、心血管疾患、誤嚥性肺炎、認知症、早産など、さまざまな全身疾患と深く関わっています。口腔の健康を守ることは、全身の健康を維持するために不可欠です。
毎日の適切な口腔ケアと、定期的な歯科検診を習慣化することで、歯周病を予防し、健康な体を維持しましょう。歯と全身の健康を守るために、ぜひ今日からできることを始めてみてください。