歯科医療コラム

奥歯の痛みは虫歯ではないことも?主な痛みの原因と対策を歯科医師が解説

歯科ブログ

2024.05.27

奥歯は食べる時に食べ物を飲み込みやすく咀嚼したり、スポーツをする際に噛み締めたり
様々な役割があります。

なので奥歯に痛みがあると、日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。

痛みの主な原因はむし歯であることが多いですが、他にも歯周病や歯の神経の炎症、歯以外が原因であるケースもあるんです。

今回は奥歯の痛みがある時に考えられる痛みの原因やその対処法についてお話しします。

 奥歯の痛みの原因はむし歯?

奥歯に痛みがある時の原因の多くはむし歯です。

歯の磨き残しからできるプラークの中にいる細菌が歯のエナメル質を溶かして
中の歯の軟らかい部分である象牙質に侵入します。

そしてどんどんむし歯の細菌が歯の内部に侵入すると徐々に痛みが強くなります。

また一度むし歯治療をした歯でも、以前行った被せ物と残っている歯の部分に細菌が入り込んでむし歯になっていることもあります。

むし歯じゃないのに奥歯が痛む原因

奥歯が痛む時に最初に疑うのは虫歯ですが、むし歯以外の原因によっても痛みが生じることもあります。
以下に虫歯ではなく奥歯が痛む時に考えられる原因について解説します。

歯周病

歯周病とは細菌感染により歯肉や歯槽骨(歯を支える骨)に炎症が生じる病気です。
症状がないまま進行してしまいます。

歯周病が進行すると歯肉から出血や膿がでたり、歯肉が腫れる、歯が揺れてくるなどの症状が出てきます。
歯周病は日本人の成人の80%が発症しているといわれており、むし歯に次いで多い症状です。

歯髄炎

歯髄炎とは歯の中にある歯髄(歯の神経)に炎症が生じている状態です。

歯髄は神経、血管がある歯の健康にとって非常に重要な役割を担っています。

歯髄炎が悪化すると歯髄を除去する(歯の神経をとる)必要が出てきます。
歯髄炎が疑われる場合は早期に歯科医院を受診しましょう。

象牙質知覚過敏

象牙質知覚過敏とは歯の外側にあるエナメル質の内側にある部分である象牙質が露出することで、冷たいものや甘いもの、刺激物がしみる状態です。

象牙質知覚過敏は加齢変化により歯肉が下がることによって発症することもあります。

親知らず

親知らずとは大人の奥歯のうち、一番後ろに出てくる歯です、
親知らずが斜めや横を向いていたりすると、隣の歯や歯肉を圧迫して痛みが生じることがあります。

かみ合わせ(歯ぎしり、食いしばり)

寝ている時の歯ぎしりや食いしばりが原因で奥歯に痛みが生じる可能性もあります。

無意識のうちに行っている方がほとんどです。
対策としては夜間に歯を守るためのマウスピースを上顎に装着するのが一般的です。

市販のマウスピースも販売されていますが
それを装着することでかみ合わせへの悪影響が出たり
軟らかいマウスピースを使用することで食いしばりを助長することもあります。

歯科医院で診断を受けたうえで適切な装置を作成しましょう。

神経痛・偏頭痛

三叉神経痛という病気で痛むこともあります。
三叉神経痛では発作的に一瞬の痛みを感じることが特徴で
顔の表面を刺すような、電気が走るような激しい痛みを感じます。
カルバマゼピンというお薬で治療します。

また同じく神経関連の原因としては偏頭痛や群発性頭痛が痛みのもととなる可能性もあります。
奥歯の痛みが頭痛と同時に発生して、拍動性の痛みである場合は神経血管性頭痛によるものである可能性もあります。

精神的なストレス

ストレスから奥歯の痛みを感じることもあります。
日常的にストレスを感じることが多い方や精神疾患の診断を受けている方などは
精神的な原因を疑ってみてもいいかもしれません

奥歯の歯肉が痛い時に考えられる原因

歯自体が痛いのでなく、歯肉が痛む場合は別の原因が考えられます。

以下に奥歯の歯肉が痛む時に考えられる原因について解説します

歯周病が進行した「中等度歯周病」

中等度歯周病とは歯周病が悪化して歯肉から膿が出ている状態です。

歯を支える骨が破壊されるため、歯肉からの出血や歯のぐらつきなどの症状を伴うこともあります。

中等度歯周病を放置して重度歯周病になると抜歯せざるをえません。
なかなか症状が出ない病気ですので、定期的に歯科医院に通院することでチェックしてもらいましょう。

親知らずの周りの炎症「智歯周囲炎」

智歯周囲炎とは親知らずの周りの歯肉に炎症が起きている状態です。

智歯周囲炎は下顎の親知らずで起こることが多く
炎症が進行すると飲み込んだ際に痛んだり、口を開けづらくなったり
首のリンパの腫れた発熱といった全身の症状を伴うこともあります

夜に奥歯の痛みが強くなる原因

日中は痛みがなく、夜になって痛みが強くなり困ってる方もいるのではないでしょうか。

以下では夜になると奥歯の痛みが悪化しやすい原因について解説します。

夜になると頭部の血流が増加する

日中は立っていたり、座っていたり血液は下に流れやすいです。

しかし、夜にソファで横になったり、ベッドに寝たりすると血液が頭部に流れ込むため
血管の膨張により神経が圧迫されて痛みが生じやすいです。

副交感神経が活発になる

日中は交感神経が優位ですが夜間は体を休めるために副交感神経が優位になります。

副交感神経が優位になると血管が拡張され痛みなどの症状を感じやすくなります。

入浴や飲酒などにより血行が促進される

血行と痛みには相関関係があります。

入浴することで血流を促進すると同時に副交感神経の働きを促すために歯の痛みを感じやすくなります。

もし歯や歯肉に痛みがある方は軽めのシャワー程度にしておきましょう。

歯ぎしりや食いしばりにより症状が悪化する

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は就寝時に行ってしまうことにより奥歯の痛みが悪化する可能性もあります。

そういった場合は歯科医院でマウスピースを作成してもらいましょう。

奥歯が痛い時の対処法

奥歯が痛いがすぐに歯科医院に行けないという方もいるでしょう。

そういった場合にできる応急処置をお伝えします

痛み止めを服用する

頭痛や生理痛の際に市販の痛み止めを服用される方も多いと思います。
そのような痛み止めは歯の痛みにも効果的です。
とりあえず市販の痛み止めを服用してみるのも一つの手です

痛みがある部分を冷やす

むし歯が原因で痛む場合は外側から軽く冷やしてあげると痛みが和らぎます。

氷枕や冷やしたタオルなどを使い、痛みを感じる部分の外側からあてましょう

口の中を清潔にする

歯の痛みの原因が細菌であることも少なくありません。

そのため口の中を清潔に保つことである程度の痛みを抑えられる可能性もああります。

歯磨きはもちろん、デンタルフロスやうがい薬を併用することも効果的です。

なおむし歯による痛みにうがい薬は効果はありません。

奥歯が痛い時にしてはいけない行動

奥歯が痛む時には血行を促進する行動や刺激を避けましょう

具体的には入浴、飲酒、喫煙などを控えるべきです。

できるだけ刺激を避けて、早めに歯科医院を受診することが大切です。

さいごに

以上のように奥歯の痛みの原因は様々な事が考えられます。

症状やレントゲン所見から総合的に診断したうえで最適な処置を
歯科医院で行うことが必要です。

ヨコヤマ歯科では患者さん一人一人のお口の状態をしっかりと検査して治療していきます。

患者さんにより

むし歯のリスク
歯周病のリスク
悪いかみ合わせによる力のリスク

は様々です。

今痛みがある方も特に症状がない方も

ご自身がどのようなリスクをお持ちかを認識して
これからしっかりお口の健康を管理していきましょう

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