子どもの口腔悪習癖とは?将来の歯並びや発音にも影響する原因と対策について解説します

2025.10.14
子どもの口腔悪習癖とは?将来の歯並びや発音にも影響する原因と対策
はじめに
「指しゃぶり」や「舌で前歯を押す」など、子どもの何気ないクセ。
実はこれらの**口腔悪習癖(こうくうあくしゅうへき)**が、歯並びや噛み合わせ、発音などに大きく影響することをご存じでしょうか?
今回は、歯科医の立場から子どもの口腔悪習癖について詳しく解説します。
1. 口腔悪習癖とは?
口腔悪習癖とは、口まわりの筋肉や舌、唇、顎などに悪い影響を与えるクセのことを指します。
代表的なものには次のようなものがあります。
- 指しゃぶり
- 舌突出癖(舌で前歯を押す)
- 口呼吸
- 唇を噛む・吸う
- 頬杖(ほおづえ)
- 食事中の片噛み(片方ばかりで噛む)
これらは成長期の顎の発達に影響を及ぼし、放置すると歯並びや噛み合わせのズレにつながることがあります。
2. 放置するとどうなる?悪習癖がもたらす影響
子どもの骨や歯は成長途中のため、外からの小さな力でも形が変化しやすい状態です。
悪習癖が長期間続くと、次のような問題が起こることがあります。
- 出っ歯(上顎前突)
- 受け口(反対咬合)
- 開咬(前歯が閉じない状態)
- 発音の不明瞭化(サ行・タ行など)
- 口呼吸による口腔乾燥・むし歯や歯肉炎のリスク上昇
特に舌の位置や口呼吸は、顔の成長にも関わるため、早期の対処が大切です。
3. いつまでにやめるのが理想?
指しゃぶりなどの癖は、3歳頃までは自然な行動の範囲内とされています。
しかし、4歳を過ぎても続く場合は要注意です。永久歯が生える6歳頃までに改善できないと、歯列や顎の成長に明確な影響が出るケースが多く見られます。
歯科医院では、年齢や発達に応じて無理のない方法でやめられるようサポートを行います。
4. 悪習癖への対応方法
歯科医院では、まず悪習癖の原因を確認し、習慣の改善と筋機能訓練(MFT)を組み合わせて行います。
主な対応方法:
- 指しゃぶり:指の清潔管理と心理的サポート、無理に叱らずステップを決めて卒業へ
- 舌突出癖:舌の正しい位置を練習(舌先を上顎のスポットに置く訓練など)
- 口呼吸:鼻づまりやアレルギー性鼻炎など、原因を医科と連携して改善
- 唇や頬の癖:筋肉バランスを整えるトレーニング
保護者の協力が何より大切で、「叱る」より「応援する」姿勢が成功の鍵になります。
5. 歯科医院でできるチェックと予防
当院では、
- 舌や唇の動きの観察
- 噛み合わせ・歯列の評価
- 呼吸や姿勢の確認
などを通して、早期に問題を発見・サポートしています。
特に小児矯正を始める前段階として、悪習癖の改善はとても重要です。
まとめ
子どもの口腔悪習癖は、放っておくと「歯並び」だけでなく「呼吸・発音・顔立ち」にも影響します。
気になるクセがある場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。
お子さまの健やかな成長のために、日常のちょっとしたサインを見逃さないようにしましょう。