その食べ方大丈夫?食べ方が歯並びを悪くする。噛み癖がもたらす影響とは

2025.09.28
こんにちは。箕面市牧落オートバックス前、ヨコヤマ歯科のTCの榎本です。
普段の生活の中で、気づかないうちにしている「頬や舌を噛む」「片側だけで噛む」といった噛み癖。ちょっとしたクセのように思えますが、実は歯や顎に負担をかけてしまい、歯並びの乱れや顎の不調につながることもあります。放っておくと症状が強くなることもあるので、早めに意識して直していくことが大切です。
噛み癖(かみぐせ)とは?
「噛み癖」とは、日常的に“いつも同じ歯”や“片側だけ”で噛んでしまうなど、無意識に偏った咀嚼(そしゃく)をしてしまう習慣を指します。専門用語では「偏咀嚼(へんそしゃく)」「片側噛み」などと表現されることがあります。
このような噛み方が長く続くと、咀嚼運動が本来のバランスを失い、様々な悪影響をもたらす可能性があります。
噛み癖が生じる原因
噛み癖が発生する背景には、以下のような因子が複合的に関係しています。
- 欠損歯・抜歯後の未補綴:隙間を避けて反対側で噛んでしまう
- 虫歯・詰め物の脱離・歯の違和感:痛みや不快感を避けて片側に頼る
- 歯並び・不正咬合:かみ合わせが不均等で片側に負荷が偏る
- 歯ぎしり・食いしばり:強い力がかかる方向に誘導されやすい
- 顎関節・筋肉の癖:顎の位置や筋肉の使い方の偏り
噛み癖による口腔内への影響
噛み癖が口の中にもたらす主な影響には、以下が挙げられます。
- 歯の摩耗・破損
同じ歯にばかり荷重がかかると、その歯の咬耗が早く進行します。 - 歯周病の進行・歯槽骨の吸収
力が偏ることで歯周組織にストレスがかかり、歯周ポケットが形成されやすく、歯周病を悪化させるリスクが高まります。 - 補綴物・詰め物の不具合
クラウン、インレー、ブリッジなど補綴物に過度な力がかかると、緩み・破損・接着の剥がれなどを招きやすくなります。 - 咬合(かみ合わせ)のズレ
長期間の偏咀嚼により咬合面が崩れ、噛み合わせのバランスが乱れることがあります。
顎・顔貌・全身への波及影響
口腔内だけでなく、顎・顔貌・全身にまで影響が及ぶこともあります。
- 顎関節症の発症・悪化
関節円板の偏置や関節への負荷が片側に偏ることで、顎関節に不調をきたすリスクが上がります。山口院長も、この点を強調しています。 - 顔のゆがみ・非対称
片側で噛むことで筋肉の使い方が左右で異なり、頬骨・下顎骨・咬筋の発達バランスにズレが生じ、顔貌がゆがんで見えることがあります。 - 首・肩・頭の症状
噛み合わせのアンバランスから咀嚼筋・側頭筋などが緊張し、それが首・肩・頭部の筋肉に波及して、頭痛・肩こり・首の張りを引き起こすことがあります。 - 姿勢・体幹バランスへの影響
口元・顎のずれは全身の筋肉連鎖に影響を与え、姿勢異常や腰痛などを誘発する可能性も指摘されています。 - 耳鳴り・めまい
顎・咬筋と耳周囲構造には相関があるため、噛み癖が関係して耳鳴り、めまいを感じる人もいます。
症状が進行した場合に現れうるトラブル
噛み癖を放置しておくと、以下のような重篤なトラブルに発展することがあります。
- 顎変形症
顎の骨そのものが変形・偏位するようなケースも存在します。 - 咬合崩壊・咬合崩壊に伴う過剰補綴
補綴物や義歯で対応してきたが、それらが次々と不具合を起こし、さらなる治療が必要となる。 - 顎関節の不可逆的変化
関節軟骨の摩耗や変性が進むと、非可逆的な関節症状を残す可能性。 - 生活の質低下(QOL悪化)
痛み、顎関節可動域制限、食べづらさ、顔貌変化、頭痛・肩こりなどにより、日常生活や仕事への支障が出る。
これらは必ず起こるわけではありませんが、長年にわたる偏咀嚼はリスクを高める傾向にあります。
噛み癖のチェック方法
- 柔らかいものを好んで食べがち
- 左右どちらか一方の歯でばかり噛む
- 欠損歯や隙間がそのままになっている
- 麺類などを切るとき、前歯より奥歯で噛む傾向がある
- 明らかな不正咬合がある
また、定期検診や咬合検査(かみ合わせ検査・顎機能検査など)を通して、歯科医がプロ目線で評価するのが確実です。つづき歯科でも、「お口の中のトラブルを解消し、左右どちらでも噛みやすい状態にする」ことを改善策として挙げています。
まとめ:放置せず、早めの対処を
噛み癖(偏咀嚼・片側噛み)は、最初は気にならなくても、長く続くことで歯・顎・顔貌・全身にわたるさまざまな影響をもたらす可能性があります。
特に、歯の摩耗・歯周病・顎関節症・顔のゆがみ・頭痛・肩こりなどは、多くの歯科医院のブログでも指摘されている典型的なトラブルです。
「もしかして自分も噛み癖があるかも?」と感じたら、歯科医院で咬合検査やアドバイスを受けることをおすすめします。早期発見・早期対応が、将来的なトラブルを防ぎ、快適な咀嚼機能と健やかな口元を守る鍵になります。